2015年12月30日水曜日

最近のジャン測成果 (6632A+3457A)

 最近、こんな物を落札しました。




 下段の6632Aは100W(20V×5A)の電源ですが、なかなか賢くてシンク(負荷装置)にもなります。バッテリーにも充電できます。空冷ファンの音がうるさいのと見かけによらず10Kg以上あるのが玉に傷です。とくに重心の位置が極端に偏っているので最初に持ったとき肩を痛めてしまいました。大型バイクを扱うときと同じで、心して持たないと痛い目を見ます。
 フロントパネルの端子は落札後に自分で加工して取り付けた物です。やっぱりフロントに端子がないと使いにくい。
  内部的には電圧を12ビットで表すようになっています。つまり2^12=4096段階しか設定できない。パネルの表示は電圧4桁、電流5桁ですが、それをフルに使う精度では設定できない事になり中途半端な電圧・電流が表示されることが多いです。まあ、それもありとは思いますが、天下のHPとしては???設計ポリシーが気になるところ。

 上段の3457Aは6+1/2桁のDMM、腐ってもそれなりの精度で計れる筈。手持ちの5桁DMMと比べてもほぼ同じ値を示している。3457Aを我がラボラトリーの基準として使うことにして、他の測器はこれとRb発振器を基準に較正する予定です。ACレンジは周波数特性が1MHz位まで伸びています。
 早速これを使ってR6144を較正しました。

 デザインから見て両機とも同じ年代(90年代)に製造されたものだと思います。ジャン測の表示は年代とともに赤色LED→緑色LED→液晶と移っているようです。 液晶が残念なのはバックライトが無く、暗いところでは見えない事です。 そう、両方とも製造番号が消されていました。個人的には特に問題は無いですが、製造番号が無いものを較正に出せるのだろうか?


 実際に使ってみると電源入れてから表示が安定するまでウォームアップに数時間かかります。これは電源を入れっぱなしで使うようなプロ用ですね。普段使いにはやはり有効桁数の少ない簡易な測定器が便利です。おおざっぱなところはレンジや極性切り替えが不要な安易DMMを使って、微妙な所はアナログテスターが一番ですね、個人的には。

2015年12月7日月曜日

TR5835のExpanderはHPのInterpolatorなのか

 HPのカウンタが何故小数点以下2~3桁の周波数を短時間に計れるのかを調べている。本来なら小数点以下2桁を計るには100秒必要な筈だが、それじゃぁ使い物にならない。どうして魔法みたいな事が出来るのか?を調べてみてアプリケーションノート200(AN200)に行き着いた。

 HPの基本的なやり方は周波数をカウントする訳では無くて周期を計って周波数を逆算している。そこに幾つかのテクニックを使っているがそのキモは Interpolator である。

 Interpolation には Analog Interpolator とDual Verniar Method の2種類ある。前者は時定数の違う2つの積分回路を使って時間間隔を1000倍に伸ばし、その時間をカウントしている。後者はPLLを使って作成した高速クロックを使って周期をカウントしている。

 5384Aのマニュアルを見ると、トランジスター5個とOPアンプ1個だけの巧妙な回路でAnalog Interpolatorを構成し時間を200倍に延ばしている。

 ここまで調べると、HPがやっている Interpolator は Advantest の TR5835 のExpanderでやっている事と同じではないかと感じる。ただExpanderはOPアンプ6個を含むもっと教科書的な回路ではあるが。