2016年6月26日日曜日

iMac G5 iSight の持病に挑戦(その2)

 iMac G5 iSightのロジックボードと電源ユニットの電解コンデンサを一式集めるのに秋葉原で4軒回った。同じ容量でもサイズが違う物があったりするので、実物と同じサイズを調達するのは結構面倒である。Appleの場合サイズには気を遣う。大きすぎると組み立てられないし、小さすぎると寿命が短くなる。さらに68μFは無かったので100μFで代用する事とした。ここは交換部品のキットが欲しいところ。米国ではキットを売っているが、コンデンサは日本製と書いてあって$15~30$くらいだが、JPY表示の物は1桁高かったりして輸入する気が失せる。


 電源ユニットは整流した100Vを溜める150μF/420Vを除いた6個の電解コンを全て交換した。うち2個は150μFの下に隠れている(この2個の劣化が激しい)。交換後負荷をかけて試してみたが、正常に動作しているようである。


ロジックボードにも挑戦した。パターンが太い電源やアースに繋がっている場所はハンダ吸取器の熱容量が負けてううまく吸い取れない。60Wのコテを併用して何とか作業ができた。
 交換予定の電解コン16個のうち13個は交換できた。しかしヒートシンクを外さないとハンダ面にアクセス出来ない場所があり、ヒートシンクが離れず、かといって力をかけてボードやLSIのハンダを痛めるのは本末転倒なので中央の3個の電解コンは交換を断念した。
 取り外したコンデンサを調べてみたが、膨らんでいた3個の1800μF6.3Vは容量が1割程度になっていたが、他は容量の減少は無かった。中央の3個はこのまま放っておいても大丈夫だろう。

 注文しているコーティング剤が届いたら組み立て直そう。・・・そしてこうなった。
 

 メデタシ、目出度し。

 そう、あまり表に出ないけど部品以外にもフラックスリム-バ、コーティング剤、ヒートシンク用のグリース、耐熱テープなど小物が要るんだよね。ただ導電性テープは高くて手が出なかった。掃除道具(掃除機や導電性ブラシ)も必要。あと分解・組立には柄の長いT-6,T-8,T-10のドライバ-も必須。ハンダ鏝やハンダ吸い取り器、静電気を逃がすためのアース線もね。

2016年6月21日火曜日

iMac G5 iSight の持病に挑戦(その1)

 iMac G5 には突然起動出来なくなる持病がある。原因は①電源ユニットの電解コンデンサ、②メインボードの電解コンデンサ、③グラフィックプロセッサの何れかであることはネットを検索すれば出てくる。

③は表面実装のグラフィックプロセッサの半田付け劣化でやり直し(reballing)が必要。しかしYouTubeでG5 reballing を検索したら分かる通り、その道のプロ以外手を出せない。
①や②なら電解コンデンサの交換で済む。予めこれを一台分集めたキットも売っているようだ。②は多層基板に無鉛ハンダで付けてあり、さらにコンデンサの片足が熱が逃げやすい接地に繋がっているためかなり注意して作業しないと基板を壊してしまう。
①は最も簡単で、最悪の場合でも電源ユニットの中古品を調達すれば済む。

 先日知人から iMac G5 iSight の修理を頼まれた。全く立ち上がらない。ネットで調べた方法で分解し、電源ユニットを取り出した。
 Apple製品の分解には様々な工具とモデル毎のテクニックが必要で簡単ではないが分かってしまえば難しくはない。
 このiMac(MA064J/A、A1145らしい)の分解情報はこれが最も良かった。やはりこの分野はFIXITが秀逸。

https://www.ifixit.com/Guide/iMac+G5+20-Inch+Model+A1145+Power+Supply+Replacement/1152

 とにかくネジの形状やピッチが様々なので、注意して取りかからないと分解は出来ても組み立てられなくなる。

この中華電源は小さくシンプルな割には12.1V×15.4A≒185Wと高性能だ。普通のPC用電源と違って単電圧出力で修理しやすい。100Vを繋いでみるとそのままで12V出てくるが、2.7Ωの負荷をかけて5A取りだそうとすると2V位に落ちる。

 負荷を変えたり電解コンにパラに電解コンを追加したりしてみると、一度12Vが出始めると10A取り出してもちゃんと12V維持出来たりする・・・こういう場合によく見られる不安定な症状。前に修理したTVカメラの電源部もこういう症状だった。制御部が劣化して保護回路が働いているのかな。それにしても高負荷でも熱くなる部品がなく、かなり高効率のようだ。

 一方、電解コンデンサを使うとき使用する電圧の3倍の耐圧のものを使うのが普通だと思っていたが、ネットで調べても3倍の根拠はない。ピーク電圧が耐圧を超えなければ良いらしい。でもサージ電圧などを考えると2倍くらいは欲しいところ。現物ではここに電圧12Vに対し耐圧16Vの物を使っていて、低すぎるように思う。これと熱が寿命を縮めている原因だろうか。

 まあ、とりあえず電解コンを全取替えてみよう。

 先ずコンデンサを取り外して容量を量ってみた。

  2200μF ⇒ 2100μF
  2200μF ⇒ 2080μF
  2200μF ⇒ 2130μF
  1000μF ⇒  929μF
    68μF ⇒  4.5μF
    22 μF ⇒ 17.5μF

となっており、68μFの劣化が顕著だ。他はほぼ20%に納まっている。ただ、68μFって売ってないんだよな~。

 (こう書くと簡単に取り外せるように見えるが、融点の高い無鉛ハンダはかなり高温にしないと溶けけないし、片足はGNDに落ちているので熱をもの すごく吸収される。タイミング的にも一瞬長くコテを当てる必要がありコツがいる。無理するとスルホールごと抜けてきて悲惨なことになる。温度調整のできる 半田吸い取り器をMAX500℃にしてやっと取り外す事が出来た)

 ついでにメインボードをチェックした。電解コンは裏側に付いているのでボードを取り外してからでないとチェック出来ない。データ保持用ボタン電池もここについていて最悪のメンテナンス設計。 電解コンデンサは幾つか膨らんでいた。やはり交換が必要だ。

 週末は秋葉原行きだな~、天気悪そうだけど。




2016年6月11日土曜日

もじゅれーしょん・どめいん・あならいざぁー

先日Modulation Domain Analyzerという測定器を入手した。
前から欲しかったんだけど、具体的にどう使えるかは分からなかった。
とりあえず(マニュアルを見ずに)手持ちの10MHz発振器の特性をいくつか見てみた。
表示SPANは全て1Hzにしたのでグラフの両端の幅が1Hz。

これは以前自分でOCXO化したTR5822のレファレンス(基準発振器)だが、初めてなのでどう評価したら良いかな。追加したDC-DCコンバータの電源ノイズ気になっていたが他に比べて綺麗なので、とりあえずこのまま置いておいて大丈夫だろう。

これはHP5334Bのレファレンス。TR5822と同じスケールで見ているが裾の広がりが気になる。精度向上のテクニックとして意識的に分散させる方法があることはHPのドキュメントで読んだように思うが、これがそうなのかは分からない。そう思うとこれはガウス分布かな?なんてことが気になってくる。

別の機械でこういうのもあって、不自然な非対称性は何か潜在的なトラブルかな。

 ここでアナライザ自身のレファレンスを見てみると、

さすがに綺麗だ。これが限界でこれ以上の測定は出来ないだろう。スパンをもっと狭められるので見てみたいが、これは後のお楽しみに残しておこう。

つぎにRb発振器はこうなった。少し非対称なのは電源が弱いのかな。少しいじる必要がありそうだ。

某社中古SGのレファレンスはこうなった。かなり酷い状態だ。これこそ電源に問題があるのかな。

 このように、今まで見えていなかったものが見えるようになって、今後の方向性が見えてきた。安く落とせたし、とっても良い買い物をした気分だ。