2023年9月17日日曜日

第二種電気工事士に挑戦(その4)結果

 技能試験は欠陥が1つもない事が合格の条件なのだが、上手く出来たつもりでも検査官がどう判断するか分からない。合格通知を受け取るまでは何とも言えない。

そして1か月ほど経って結果が届いた(都合があって家を留守にしていたため受験番号が分からずWEB公表には対応できなかった)。

今回の技能試験の合格率は73%だったそうだ。

免許申請は更に1か月ほど遅れたが、申請書に5300円の収入証紙と顔写真を添えて近くにある県の電気工事工業組合の支部へ持参した。即日発行を期待したが免許は郵送になるとの事。なお申請書と免許状交付申請の説明書は技能試験時に受験者全員に配られていた。

実際に免許が送られてくるまでには1か月半ほどかかるらしい。

そして10月半ばにライセンスを受け取った。

メデタシ、メデタシ
 

第二種電気工事士に挑戦(その3)技能試験

 技能試験は13課題があらかじめ公表され、その中から1課題が出題され、その回路を40分以内に完成させる必要がある。試験内容に比べて時間が多くないので無駄な作業は極力省き効率的に進めたい。

まず、YouTubeでHOZANから提供されている13課題の実演(といっても昨年の問題。今年も内容はそう変わらないはず)を見た。元々弱電の配線には慣れているので ポイントだけ習得すれば何とかなるはずである。そこで分かったのはワイヤーストリッパーが無いとかなり時間をロスることである。HOZANは、カット+シース剥き+被覆剥きを簡単に処理できる電気工事士試験に特化したワイヤーストリッパーを販売している。ペンチ+電工ナイフだと分単位でかかってしまうVVFケーブルの末端処理がこのワイヤーストリッパーを使うと10秒もかからず処理できる。これは時間短縮のために必須だ。さらに重要課題の「の」の字曲げにも使える。
その他リングスリーブの圧着ペンチも圧着したリングスリーブに決まったマークを残す必要があるので必須の工具である。

そうこう調べていると受験向けに工具セットを販売している事が分かり、DK-28というセットを早速購入した。すでに持っている工具もあるのでセットである必要ないが割安なうえに携行に便利な収納袋も付いており便利そうだ。試験が終わればオークションで転売すればよい。そのほかDK-200という合格マルチツールと合格クリップも併せて買ったが、これも試験が終われば不要だ。

工具を買ってみて1つ分かった事は、ワイヤーストリッパーは右利き用という事だ。私は左利きなので使い勝手が少し違う。表面に書いてあるスケールは左利きでは使い辛い。そのほか被覆を剥くとき刃が傾くと被覆や心線に食い込んで傷つけ気味になるが、これは最悪の場合欠陥と判断される。くれぐれも注意が必要だ。

工具は揃えたが練習材料も必要。近くのホームセンターでVVFケーブルや埋め込み型スイッチ(単極、3路、位置表示灯内蔵)、埋め込み型コンセント、露出型コンセント、ランプレセプタクル、引掛けシーリング、リングスリーブ(小、中)、差し込み型コネクタ(3本用)、埋込連用取付枠を購入した。ジョイントボックスは特に練習する必要も無いだろう。
 特に練習したのは「の」の字曲げである。あまりはみ出してはいけない事は分かるが、判断基準が明確でなく試験官の気分で合否を左右される可能性があるので教科書的な美しい「の」の字を作って欠陥判断を回避したい。試験に出るネジの直径は3.5mmの場合と4mmの場合があるようで、被覆を剥く長さもそれに応じて18mmや20mmと変え、「の」の字がネジの頭から横にはみ出ないよう毎日練習した。

最初は甘く見ていたが、リングスリーブの圧着にも意外と力が必要で、よっぽど力が無いと片手の握力だけでは不十分である。HOZANのビデオの講師のお姉さんが苦労していた理由が納得できた。練習の残骸が次の写真である。

あと、個人的に気を付けなければならないのは線の色である。試験では2色(白・黒)のVVFケーブルを多用する。弱電では接地には黒や暗色系の色を使う事が多いが、強電では接地には白を使い黒はLive(Hot)と使い分ける。うっかり色を逆に使わないよう注意が必要だ。

元々弱電の配線には慣れているので複線図をきちっと描けばあとは淡々と作業できる。複線図を描く練習は各課題ごとに3回はやった。実配線では上に述べた幾つかのポイントや各部品やケーブルを手に馴染ませる事を主に練習し、1つの課題を最後まで完成させるような練習はしなかった(そもそもそれだけの材料は買い揃えてはいない)。被覆を剥く長さ10mm、12mm、18mm、20mmなどは目視で出来るようにした。

 

試験会場は全国的に有名なイベント会場だった。受験者数は約2千人程度。概ね 100名×20グループといったように分けられていた。机上には作業用(机の保護用)にB3程度のボール紙が下敷きとして置いてある。配線材料は23×16×10cm程度の段ボール箱1つに入って配られた。VVFケーブルは巻かれた状態で箱に入っていた。

本試験が始まる前に配線材料の確認があるが、この時点で13課題中のどの課題が出題されているか材料の組み合わせで分かる(まだ問題用紙の課題を見てはいけない)。

試験官の合図で試験がスタート。試験の時最も気を付けたのはVVFケーブルをカットする長さである。支給されるVVFケーブルに余裕がないので、切る長さを間違えると最悪の場合課題を完成できなくなる。複線図を描くときカットする長さを書き込んで、その合計と支給されたVVFケーブルの長さに矛盾がないかチェックした。被覆を剥く長さは多少誤魔化しが効く。あとは淡々と作業するのみである。

スタートから35分くらいかかって課題は完成した。その時点ですでに完成し形を整えている受験者も多かった。

試験官の止めの合図で手を下す。その後は一切課題に触れてはならない。

机の上を片付けて、余った材料やゴミは段ボール箱に戻し、課題を机上に置いたまま退席となる。2千人を順に退席させるため自分の番になるまで30分以上かかった。なお問題用紙や段ボール箱、下敷きのボール紙は持ち帰れない。

あとは結果を待つのみである。 

余談であるが、第一種電気工事士の資格を持つ知人からのアドバイスによると、冬場はケーブルのシースや被覆が硬くなり作業に手間取るので実技試験は上期が有利との事だった。

 (続く)

 

 

 

 

第二種電気工事士に挑戦(その2)学科試験

学科試験は筆記を選んだ。最初は日程に自由度のあるCBTを考えたが(1)CBTは筆記より早い時期に行われるため勉強の時間が取れないのと、(2)過去問をA4サイズに印刷すると小さい字が潰れてみ辛い場合があり、もし本番画面上での屋内配線図の解像度が悪く字が細かいと老眼の私に不利なので、眼鏡で何とかなりそうな紙(筆記)を選んだ。

オークションで昨年用の問題集を安く入手した。どうせすぐ不要になる本なので中古で十分である。届いてみると多少の書き込みがあったが気にしない。自分のペースで過去10年分を解いたら傾向とともに自分に足りない知識が何なのか、強化すべき知識が何なのかが分かった。さらに電気技術者試験センターから2022年の試験問題と解答を入手して解いたが、ほぼ過去問の繰り返しだ。

 
問題を解いているうちに配線器具類の名前と記号、ケーブルの名前と特性、ブレーカの許容電流と設置場所、モータを含んだ回路の許容電流の決め方、漏電ブレーカの省略、工事に必要な知識など強化すべき分野が分かった。それとともに同じような問題が繰り返し登場するので、やっているうちに知らなかった知識が身に付いた。

筆記試験は全部で50問出題されるが、回路理論、配線の許容電流やブレーカ、工具に関する知識、電動機、配線材料、リングスリーブの使い方、施工場所と工事の種類、接地、検査、故障診断、法令関係で30問、残り20問が配線図と実物の写真を見ながらの実務的な問題である。

ここ数年の問題の傾向として複合的な問題が出てきている。従来であれば2つの問題であったものが1つの問題に纏められていて、答えの組み合わせとして正しいものを選べ、といった問題である。例えば2021年度上期午前の第19問がこれに当たる。 


 試験会場は家から2時間近くかかる某大学が指定された。受験者は若い人が多い。会場で試験室案内を見ると700名程度の受験者は18室に分けられている。試験は午前・午後と2回あるから倍の受験生がいるのかな。私は午後の部であった。

問題は50問、試験時間は2時間、マークシート方式である。配られた問題用紙は想像したより大きいB4サイズであり、屋内配線図はくっきりと印刷され老眼の私でも全く問題無かった。

回答は淡々と1時間半ほどで終わり、退室した。試験開始後一定時間を過ぎると退室できる。問題用紙は持ち帰って良いので後の自己採点が容易だ。

試験後、自信のない1問を除いて全問正解だと思ったが、後に公開された回答で答え合わせすると3問間違っていて、自己採点で94点であった。じっくり取り組めば100点だったが筈だが早とちり等で当然正解できた問題をミスり、満点とはならなかった。

なお今回の学科の合格率は60%だったそうだ。

(続く)


 

 

2023年9月16日土曜日

第二種電気工事士に挑戦(その1)

 還暦はとっくに通り過ぎた身ではあるが、思い立って第二種電気工事士に挑戦した。といっても第二種電気工事士についての詳しい知識はなく、ブレーカーが時々落ちるのを防ぐために家の中の配線を整理できれば良い、程度の動機である。幸い電子回路(弱電)は超得意分野である。強電もその延長で何とかなるだろう。

ネットで検索すると、一般財団法人電気技術者試験センターが電気工事士の試験をやっているらしく、同センターのホームページを見ると第二種電気工事士は年に2回の試験があるようだ。試験は学科試験と技能試験がある。さらに過去問と回答が10年分掲載されていた。

とりあえず受験案内をダウンロードした。今年2月頃の事である。

 受験案内によると受験料はネット申し込みで9,300円と少々お高い。前期試験の申し込みは3/20~4/6、学科試験(筆記)が5/28、技能試験が7/22又は7/23、結果のWEB発表は8/17と結構長丁場である。学科試験には今年からPCを使ったCBT方式での試験も導入され(4/24~5/11)こちらも選択可能である。

このスケジュールと過去問を見ながら、受験するかどうか悩んだ。学科試験は2時間で60点取ればよいので何とかなるだろう。一方技能試験は40分勝負で1箇所でも欠陥があるとサドンデスで不合格となるので細心の注意が必要で、甘くみてはけない。1回の受験で合格できる一発合格率は5割程度らしい。もし技能試験に落ちても1回は学科免除で再挑戦できるが再度高い受験料を払う必要がある。

 何人かの知人に相談し、祖父が資格を持っていたこともあり、ボケ防止を兼ねて受験する事とした。

申し込みは 電気技術者試験センターホームページにマイページを登録し、その中で申し込む。受験料はコンビニで支払ったが何故か手数料が上乗せされて9593円になっていた。これで腹は決った。

 (続く)