2016年1月23日土曜日

カウンタ研究、HP5334Bの3GHz対応

 アマチュア的には周波数が簡単に高精度で計れれば十分なのでデジタル回路で教科書的な回路を組んで、あとOCXO等の高精度の基準周波数を用意すれば十分と考えるけど、HP(Agilent or KeySight)の解説(Application Note)を見ていると奥はずっと深い事がわかる。

 じっさい周波数を1Hz単位で計りたければ1秒かかり、0.1Hzまで要求すれば10秒かかる。それでも一番下の桁に±1の誤差が出る。これが普通の周波数カウンタ。高性能のカウンタだと、この±1を同じ計測時間で更に100等分して計れるのは一例。

 もう1つの重要なポイントはトリガー。 いろいろなトリガーがかけられる。アマチュアでは使いこなせないくらい充実している。まだ理解できていないアーミングという機能もある。

 こんな解説を書いてもキリが無いが、HPの5334Bというカウンタを手に入れた。

 仕様では100MHz迄計れるが0dBm入力で150MHzまで計れる事は実物で確認した。それより重要なポイントはこのカウンタは1.3GHzまで計れる回路(Channel.C)が殆ど組み込んであるということである。


 3GHzまで計れるカウンタがオークションに出ると片手諭吉位は覚悟する必要がある。また53131等に3GHzのオプションを追加するには数諭吉が必要である。でも5334Bなら0.2諭吉もあれば1.3GHz対応になる。アマチュア的には十分である。

 5334Bのプリスケーラ部はこんな感じで、すでに多くの部品が取付済みである。

 信号は右から左へ進む。3つある小さな青いドーナッツ状の素子はプリアンプ。必要な改造は、左端のソケットにプリスケーラのICを挿し、またランドの付いた穴の2つにはリミッター用とピーク検出用に使うリング状ダイオードブリッジを付ける事。これだけで1.3GHz対応になる。あとはパネルに同軸コネクタを付けて配線するだけである。

 HPは何と素晴らしい会社だろう。或いは特殊な部品は市場では入手出来ないとたかをくくっているのか。しかしここに部品を取り付けた先人の情報がネットに流れており心配はいらない。2GHzあたりまで行けるらしい。実際に使われている半導体部品は3GHz位まで行ける筈なのでどうなるか楽しみである。

さあ、いつ秋葉原に行こうか。

・・・その後、(続)へ続く
後のBLOGに書いているとおり 3GHz まで行けました。

















2016年1月17日日曜日

この頃のSG(Signal Generator、標準信号発生器)オークション

 1年前に比べてSGが安くなっているようだ。1年前だと1GHz物が3諭吉、2GHzで4諭吉が相場だった。今年はその値段だと買い手が付かない。奥行きが長くて置き場所に困るHPの8657B (2GHz物の)なんて2諭吉でも買い手が無い。さすがに滅多に出ない現役の6GHz物は早い段階で10諭吉を超え、さらに70諭吉を超えて落札された。

 そん中、R&Sの3Gz物(SMT03)を2諭吉まで行かずに落札できた。SMT03は何台か出ていて動作品が3諭吉位で出ている。オークションでは「知識が無いので・・・」等と意識的に説明を避けて写真で判断しろという業者が多い。痛い目に遭わないためにも写真の細部を見切る必要がある。

 そんなときに役立つのがネットで手に入るマニュアル、特にサービスマニュアルが重要である。配線図が付いていれば申し分ない。故障品でも何とかなる可能性が大きい。入手したSMT03のサービスマニュアルには配線図は無かった。なお、サービスマニュアルは国内から出る事は希なので基本的に英語である。

 SMT03の出物にはエラーを起こしているものが幾つかあった。 ここでマニュアルの出番である。VCXOの同期がとれない・・・こいつはやばい。配線図が無いので手に負えない可能性があるし、修理するにも時間もかかるだろう。これはパス。 RAMバックアップ用バッテリー電圧低下でキャリブレーションデータが消えた・・・測定器の命であるキャリブレーションデータが失われると一見危なそうで、事実これでゴミになる機器も過去にはあった。しかしSMT03ではRAMのキャリブレーションデータはメニューを選べば単体で復活できるので簡単なエラーだ。SMT03の場合RAMに保存されるのはSG単体でできるキャリブレーションのデータでありレベル1のパスワードが必要。EEPROMに保存されるのが外部に測定器が必要なキャリブレーションのデータでありレベル2のパスワードが必要。
 次に問題になるのは、3つのレベルのパスワード。低い方から2つまではサービスマニュアルの中に散らばっていた。3番目は業者に照会しろと書いてある。しかし消えたキャリブレーションデータを復活するのに必要なパスワードは最も低いレベルなので大丈夫。もしユーザが変更できるパスワードだと前のオーナーが変更している可能性があるが、印刷されているので大丈夫だろう。そしてネットで調べて3つ目のパスワードもゲットできた。
  そこで3諭吉まで出す覚悟で 札を入れ、思いの外安く入手出来た。表示部に若干問題があるのも理由かもしれない。入手後バッテリーを交換しキャブレーションをやり直して復活できた。3GHzまでちゃんと出てるのも確認出来た。

 基準周波数はRb発振器と比べて数Hzズレている。この調整にはレベル2のパスワードが必要だ。それは構わないがマニュアルによるとこのパラメータは追記型なので何度もやると領域を使い切る可能性がある。何回できるか分からないので、落ち着いてから取り組むことにする。
 それにしてもR&Hのハンドグリップ(運搬用取っ手)ってプラスチックがヘタって割れてるのね。R&Hの持病みたい。


 オークションを見ていたら、HP608Eという博物館レベルの名機が出ていた。真空管式の完全アナログSGで500MHz位まで出せサイドデスク位ある巨大なものだ。飾り物として1台欲しい。出来れば復活させたい。
 安定させるためには丸1日電源を入れておく必要がある。しかしその信号の純度は素晴らしい。帰還がかかっていない性かもしれない。電圧の振幅が大きいため、相対的に回路の熱雑音のレベルが低い性かもしれない。何れも推測である。

 それより、最近GHzレベルのカウンタが高い。元値とは逆の関係だ。やっぱりアマチュアには小型の測定器が人気みたい。

2016年1月8日金曜日

IC-R6のはらわた

 ネットで検索すると IC-R6やIC-R5の英語版取扱説明書やサービスマニュアルが入手できる。

  英語版のサービスマニュアルを見ると IC-R6には日本以外に9カ国のバージョンがあることがわかる。ハードは同じ筈だからソフトに違いがあるのか。 さらに取扱説明書には30カ国以上に小分けにされた国別の指定がある。マニュアルの言語が違うのか?聞けない周波数が違うのか?

  IC-R6のサービスマニュアルには各基板の写真と主要部品の配置、組み立て図、キャリブレーションの方法、パーツリス ト、配線パターンと部品の配置、ブロックダイヤグラム、配線図が記載されている。

 例のIC-R6の「改造」は配線図ではR6(0Ωのジャンパー)を取外す事に相当し、
CPUの48番ピン(信号名はRXF0と記載)を浮かせる事になる。
 
もっと奥にあるR7(信号名はRXF1と記載)も同様のジャンパーだと思われるが外すとどうなるのか?外したい誘惑に駆られ る。
 名前は怪しくないが、同様に配線されているB0~B3と記載された信号のジャンパーもあり、16通りの設定が可能であるが何に使われているのか? 国別設定?

 IC-R6のCPU(MCU)にはRENESASのuPD78F1508Aという16ビットのものが使われていて(ちなみにIC-R5は三菱製の別のCPU)、メモリーはプログラム用の128KBのフラッシュROMと7KBのRAMを内蔵している(単位はMBではない)。 その他RENESASのR1EX24256ASA00Aという8ピン32KBのEEPROM(もう製造中止らしいから今は代替品?)が使われている。ICFファイルのデータは28KB位あるからRAMには入らずEEPROMに格納し、必要なところを読み出して使っているんだろう。このEEPROMを亀の子で何段か積み重ねればスイッチで設定データを切り替えられるようにできると思うが、改造する勇気は無い。
 ここで気になるのは、CI-Vを通じて設定情報を転送するとき、データはRAMに入りきらないこと。転送しながらEEPROMに書き込んでいるのだろうか。

 16ビットCPUといえどもuPD78F1508Aのレジスタ構成はほぼ8080と同じであり8ビットコンピュータに近いようだ。省エネのためかもしれない。IC-R6にはHJ1と表示された7ピンコネクタ用の端子がスピーカーの横辺りにあるが、ここからプログラムを書き込んでるんだろうし、QB-MINI2という1諭吉程度で買えるデバッグ用ツールを接続しプログラムのデバッグが出来る筈であるが、リバースエンジニアリング防止用に10バイトのキーが設定されてると思うので期待はしない。ネットで手に入るuPD78F1508Aのマニュアルは英文で1000ページ以上あるが、これに全てが書いてあるわけでは無い。読みこなすにも時間が無い。

 残念ながら取扱説明書にはない情報が記載されているサービスマニュアルの日本語版は入手できない。
 とりあえず・・・

 



2016年1月5日火曜日

IC-R6のキャリブレーション

 ネットで拾ったIC-R6のサービスマニュアル(英文)を見てたら、IC-R6のキャリブレーションの方法が書いてあった。
キャリブレーションできるのは、
・周波数
・バーアンテナ
・VHF感度、UHF感度
・Sメータ(バンド毎)
 残念ながら1100MHzを出せるSGを持ってないので、今は全部はできない。 今のところ特に困ってないが、そのうちキャリブレーションに挑戦してみたい。

 キャリブレーションと言えば、昔は蓋を開けボリュームやトリマーコンデンサ、或いは磁気コアをドライバーで回す必要があったが今はデジタル化され、キャリブレーションモードにした後ダイヤルを回せば済むようで、パネルを開ける必要もない。

 IC-R6をキャリブレーションモードにするにはCI-Vをショートさせながら特定のキーを押す必要がある。パスワードは必要ないようだ。