2015年11月6日金曜日
Jitter、どうよ(TR5835は濃い)
オークションでADVANTESTのTR5835 Pulse Jitter Counter を初値で落とした。約100MHzまでのパルスのジッターを100psの精度で計れるものだ。残念ながら今風のランダムジッターと系統ジッターを分けることはできない。そんな議論は無かった頃の製品だからね。
中には10MHzのOXCOが入っており、これだけでも落札価格と釣り合う。落とした目的は手持ちの幾つかの発振器のジッターを計ってみたかったから。結果が悪ければ電源の改修をやるつもり。
ケースを開けてみると、この年代に100ps単位を計ろうというので全体的に造り がしっかりしている。裏蓋のシールドもバッチリ、よく見ないと判らないが表示窓のLEDの前にもメッシュのシールドが入っている。3端子レギュレータの数も多い。回路のデジタル部分は親しみのある74LSシリーズのTTLで構成(ECLも少し)、大学時代にTIのデータブックを毎日見ていたから、名前を聞いただけで大体の回路がわかる。
CPUはセラミックパッケージの8088!,懐かしい。やる気になればソフトの解析も容易。クロックも8MHzの筈。
で、この時代に作ったこの程度の軽い装置で10GHz相当の100psをどうやって計るの?と技術が判っている人なら誰でも思うだろう。
キモは特許技術の時間伸張回路(Expander)らしい。デジタルとアナログを組み合わせたこんな基板になっている。マニュアルを見ながら1週間ほど調べて動作が見えてきた。しかし調整方法は不明。
要するに測定する時間を積分回路を使って電圧に変換し、同じ電圧を時定数を長くした積分回路で作ることで時間を伸張している。オシロで見ると300倍程度伸ばしているようだが、下手な作りだとこの回路自体がジッターでやられそう。あと最初の積分器の時定数がOPアンプのスリュレートと同じくらいでなっていて、本当にこれで大丈夫なの?最新の高スリューレートのOPアンプに交換したくなったが、我慢我慢。
あと、10MHzをアナログ的に8逓倍して80MHz(12.5ns)を作っているのも面白い。ここにPLLを使ったら何のジッター計っているか判らなくなるしね。
全体はこんな感じでCPU以外の4枚のカードはコネクタだけで止まっておりAgilentに負けているかな。CPUカードは2本のネジで固定されフラットケーブルでメインボードと接続されている。
気になるのはOCXOの横に空冷ファンがあること(このOCXOは先が長目のナット回しがないと外せない)。OCXO(及び8逓倍回路)にはスタンバイ状態(電源スイッチOFF)でも電源が供給され発振の安定化に寄与している。このときOCXOを触ると若干温度を感じる。しかし電源ONと同時にファンが回り出しOCXOを冷やし始める。いくらOCXOだってこんな設計ってアリ?
そこで実際に周波数(10MHz)を計ってみた。スタンバイ状態で15分のウォームアップ後に電源ONすると、ON時にノイズで周波数が変動する以外はその前後でも0.01Hz(10^-9)も変わらなかった。なかなか出来が良いみたいね。
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