先日、秋月へ行ったら2色の8×8マトリクスLED15個入りのレールが300円で売っていたので思わず買ってしまった。家に帰って改めて調べるとLITE-ONのLTP-12188Mというモデルで大きさは32mm×32mm、1個140円で売っているものが20円で買えたので1/7の値段だ。
内部は次のような結線で8×8×2色、アノード・コモンになっており足は24本ある。
さぁて、これをどう料理しようかと調べ始めた。
こういう場合は8行(ROW)を順にスキャンさせ、16列(COL)にデータを与える。出来ればドライバーを32mm×32mmに収め、水平方向にドッキングさせると横長に広がるようにしたいがどんな回路にしたら良いか。列に接続する電流制限のシリーズ抵抗だけで16本必要であり、8行(ROW)16列(COL)構成の駆動をするだけで8ビットのシフトレジスタが3個必要で、安易に作ると部品が基板からはみ出す。
ネットで色々調べると、74TC595AFという8ビットシフトレジスタ+ラッチと、TB62708BFという16ビットシフトレジスタ+ラッチ+定電流ドライバを使うと上手く行きそうな事が分かり、早速ドライブ部の設計を始めた。
これでロジック的には動きそうなのでPCB基板を考えた。
ちなみに、この回路のインターフェイスにはSPIを使い、3バイトで1行のデータを表示する。これを8回繰り返す事で8x8ドットを表示することが出来る。表示のリフレッシュレートを30回/秒とするとデータレートは最低5760bps(=3*8*30*8)必要となる。これを5個直列接続する場合は5倍の29Kbps必要である。実際にはソフトのオーバーヘッドを考慮してクロックを100Kbps以上にすれば良いだろう。1点注意が必要なのはTB62708BFのラッチが負論理のエッジトリガーなのに対し74TC595AFのラッチは正論理のエッジトリガーと逆になっている点である。間にインバータを1個入れれば問題ないが余計な部品を追加せずシンプルに済ませたい。そこで両者を同じトリガー信号で駆動する事とし、短いトリガーパルスを使うことで両者をほぼ同時にラッチさせる事とした。このトリガーパルスは負極性でも正極性でも問題なさそうであるが、実際には負極性だと上手く行かず消灯すべきLEDが暗く点灯する現象が発生した。
実装密度を上げ基板の面積を抑えるために表面実装部品(SMD)を積極的に使うようにした。PCBの設計で問題だったのはICチップのフットプリントである。ICの型番は分かって外形もSOP-16などと記述されているが実際の大きさが曖昧である。昔のDIPならソケットで規格化されていて簡単だがSOPには様々な大きさのパッケージがあり、どれを選べばよいか。幸い秋月では定規にあてたチップの写真を掲載してくれているので非常に助かった。あと、TB62708BFは足のピッチがインチ(1.27mm)ではなく1mmと変則的なので自分でフットプリントを作らざるを得なかった。
結局、出来上がった基板は32mm×32mmには収めきれなかった。

ここまで来て、改めて電流値を計算してみた。LEDの向きからTB62708BFを定電流シンクとして使う。1列の中で同時に光るLEDのは1個なのでドライブ能力は十分ある。一方74TC595AFを電流ソースとして使うことになるが1行最大16個のLEDを同時に駆動する必要がある。TTLの場合は電流ソースとしてのドライブ能力はとても低かったが今回のC-MOSでは改善され25mAある。しかし行ドライバーとして16個のLEDを同時駆動するには数百mAの電流が必要であり、全く足りない。この基板は未発注のままお蔵入りとなった。
やはり別途電流ドライバーが必要である。ここにNPNトランジスタのエミッタフォロワーが使えないか等と調べていたらTD62783という8チャネル500mAのソースドライバーを売っていたのでこれを使う事にし、次の回路を作った。
この回路は上の大きさの基板に収まりそうもないし、これ以上面積を大きくすると例え完成したとしても見栄えが悪すぎる。
そこで基板を2枚に分けて直交させ、前面からはLEDのみが見え、不足する面積は奥行で解決する事とした。2枚の基板間はコネクタ接続としている。さらにPIC(16F18326)による制御部を追加して3枚の基板に仕上げた。
基板にVカットを入れた1枚の基板として発注したかったが規定以下のサイズと形状のため不可であり、そこでエッジカットを入れて1枚の基板として誤魔化して発注してみたが3枚とカウントされ追加料を支払うはめに・・・まあ、安いから良いけど。
基板が届いて組み立てた。
背面の2段重ねの基板のうち上がPICを使った制御部で、下がLEDのドライバー部だ。制御部を外すとドライバー部はこうなる。
ドライバー部は横に連結して広げる事ができるようになってている。制御部1つで複数のドライバー部を制御する。何個連結できるかは主に電源容量とPICのドライブ能力に依存するが少ない数ではないだろう。
TB62708BFのR-EXT端子に接続する抵抗Rの値でLEDに流す電流を設定することが出来る。
とりあえずテストのために10KΩを入れた。 試しに330Ωを入れてみたが物凄く明るく直視できない。これでも発光時間は1/8だから平均電流に直したらLED1個当たり7mA程度の筈である。色々な場所で使えるようにするためにはENABLE端子をPWM信号で駆動して明るさを可変にするのが良いのかもしれない。
(続く)